(この記事は、米国LPI社のヘルス・リサーチ・レビューという健康新情報紙を翻訳したものです。)


1・抗酸化物質群、植物由来栄養素群、そしてアロエベラ

2・トマトの驚異、リコピン

3・国際アロエ科学評議会

4・クランベリー・ジュースがバクテリアの固着を防ぐ


1・抗酸化物質群、植物由来栄養素群、そしてアロエベラ


表紙

J・ロバート・レモンは、認定薬学博士で、LPI社の社長兼共同創業者です。薬学と医学の両分野で幅広い体験を積んだ実績を活かし、プロフェッショナルなテクニカル・リエゾン(専門知識のある渉外専門家)として、LPI社医科学顧問委員会のメンバーとの交流も担当しています。

 博士は、オハイオ・ノーザン大学で学士号を、オハイオ州立大学薬学大学院で修士号を獲得しました。開業薬剤師として仕事をする中で、博士は、栄養をはじめとする、統合的ヘルスケアのさまざまな側面に深い関心を寄せるようになりました。ボブはまた、いくつかの専門家組織のメンバーでもあります。国際予防医学アカデミー、国際応用栄養学大学、国際代謝大学、全米予防医学アカデミーなどです。

 ボブは、30年以上にわたって、高品質の栄養補給製品の調剤と製造に携わり、専門家としての仕事を通じて、たくさんの新しく画期的な製品やコンセプトを率先して生み出してきました。長年の経験から、博士は、身体の代謝プロセスをトータルにサポートする上で良質の栄養サプリメントがいかに重要であるかを知り尽くしており、栄養科学と現代医療の”歩み寄り”を全面的に支援しています。



本文

 健康管理に関わる専門家や、専門的かつ標準的な情報を提供する各種組織、そして一般公衆の間にも、栄養学に関する知識はずいぶんと浸透し拡がってきました。この意味深い進展ぶりを我が目で眺めることができたのは、ほんとうに嬉しいことだと思っています。私が天然物質を使った製品に対してはじめて興味を持ったのは、1970年代のことでしたが、当時の人々は、このような製品にほとんど関心を払っていませんでした。ほとんどの人は、ビタミン、ミネラル、酵素、ハーブなどの利点に目を向けてはいなかったのです。当時は、”抗酸化剤”だの”植物由来栄養素群”だのといった用語を耳にしたことのある人はいませんでした。ところが、それから30年近くたった現在、このような天然物質群の名が、毎日のように新聞の第一面を飾るという状況になったのです。

 新しい分析手法が登場し、またそれにふさわしい新しいメンタリティを持った研究者たちが世界中に育ってきたおかげで、それまで知られなかった物質が、食べ物の中から次々と見つかるようになりました。抗酸化成分の豊富な食事は、2大致死病である癌と心臓病を防ぐ上で重要な役割を果たすファクターを供給してくれます。つい2〜3年前まで、植物由来栄養素群の中でも特に重要な、プロアントシアニディン群、リコピン、リポ酸、サルフォラフェンといった成分の名前は、誰も耳にしたことがありませんでした。もうひとつ興味深いのは、これら成分の多くが、”健康な食事”を構成するごくなじみ深い野菜や果物から発見された成分である、ということです。

 現代科学と栄養学的研究が組み合わされれば、どれほど素晴らしいことになるでしょう。全米健康学会連盟理事局(NIH)内の食品サプリメント局(ODS)は、つい最近、健康促進と病気の予防に食物サプリメントが果たす役割の可能性を探る4つの研究に対して奨学金を出すため、基金を発足すると発表しました。ODSはまた、ハーバード・スクール・オブ・デンタル・メディスンでおこなわれる予定の、歯周健康と心臓病や脳卒中との関係を調べるプロジェクトに対し、共同スポンサーとして支援することになっています。研究のきっかけとなったのは、歯が悪いとよく噛まなくなるので、食べ物に含まれる抗酸化物質や繊維の吸収が悪くなるのではないか、という仮説でした。もうひとつ、ヒューストンのベイラー・カレッジ・オブ・メディスンでおこなわれる予定の研究では、乳幼児に3種のアミノ酸、グルタメイト、グリシン、システインをサプリメントとして与えることに利点があるかどうかを評価することになっています。また、ガルヴェストンにあるテキサス大学のメディカル・ブランチ(医学部校)では、白内障の発症に関する抗酸化剤の役割を研究する予定になっています。

 食品サプリメント局は、1994年に議会を通過した「食物サプリメントによる健康とその啓蒙に関する条例(DSHEA)」に基づいて設立されました。ODS設立の目的は、よりよいヘルスケアを実現するための重要な一要素として食物サプリメントが活用できる可能性をもっと詳しく探ること、そして、健康を維持し慢性病を防ぐのに役立ちそうな食物サプリメントに関する科学的研究を促進することの2つです。ここで得られた最終的な成果は、新たな食品サプリメント関連の科学的研究に反映されていくことになっています。このような活動は、私などのように、一般市民の全身的な健康維持に天然物質から作られた製品を活かしたいと何十年も努力してきた人間にとっては、大きな励みとなるものです。

 上でも書いたので繰り返しになりますが、今まさにスポットライトが当てられている現代の驚異的な発見、植物由来栄養素群、抗酸化物質群、微量ミネラル群、酵素群などが、実際、健康増進に役立つとされて何年も前から利用されてきたありふれた食品やハーブから見つかった、という事実こそ、心して記憶に止めておくべきことではないか、と思います。たとえば、プロアントシアニディン群は、ブドウ類、ベリー類、その他何百という食品の中から見つかりましたし、リコピンはトマトから、リポ酸はジャガイモから、カロチノイド群は黄色や緑の野菜や果物から、サルフォラフェンはブロッコリその他のアブラナ科の野菜から見つかったのです。もちろん、セントジョンズ・ワート(西洋オトギリ草、ウツに効く)、ギンコー・ビロバ(イチョウ)、ニンニク、ヒュペリツィア(?)の鋸歯状葉などに含まれている有効な植物由来栄養素群についても、考えてみるべきでしょう。

 天然物質を使った製品を開発するなら、基本素材のひとつとして取り上げるべきだと私が考えているのは、なんといっても、有史以来その利用が記録されてきているアロエベラです。実際、健康維持に役立つからこそ、文字通り何トンものアロエジェルが、世界中のありとあらゆる国の一般市民によって消費されてきているのです。現在だけでなく、25年前にも、それどころか4000年前にも人気があったという事実こそ、この植物にはたしかな効力があるという証でしょう。今日、アロエベラは、合衆国南部、中南米その他、世界中の乾燥地域で商業的にプランテーション栽培されています。各種ビタミン、各種ミネラル、そしてムコポリサッカライド群、酵素群、アミノ酸群、植物性ステロール群、アントラキノン群など多種多様な植物由来栄養素群が豊富に含まれるアロエ・バルバデンシス種(俗名アロエベラ)は、まさしく、植物由来栄養素群が眠る金鉱脈なのです。

 テキサス大学のサンアントニオ・ヘルス・サイエンス・センターで最近まとめられた一連の研究の中には非常にエキサイティングな研究があって、そのうちのひとつによれば、アロエベラには寿命を伸ばし病気の罹患率を下げる効力がある、という事実が明らかになりました。これは、アロエを長期連用した結果について、長期的な研究がなされ、しかも論文に記録された、初めてのケースです。この研究の場合、まず基礎観察担当者が数年間アロエを研究し、本研究開始前に、この植物から抽出した強力な抗酸化物質を特定するところまで既に済ませていたのでした。このように、健康を支えてくれる有益な植物由来栄養素群をたっぷり含んだアロエベラが、いろいろな天然物質製品群の中でその価値にふさわしい位置付けをされるようになってきたのを見るにつけ、私も、これまで努力が報われつつあるように感じる今日このごろなのです。



2・トマトの驚異、リコピン

 健康を支えるのに欠かせないきわめて重要な栄養素のひとつが抗酸化物質群である、ということは、今日、疑う余地のない事実です。この抗酸化物質群の中でもごく最近になって知られるようになったもののひとつが、リコピンです。今非常にもてはやされているこの植物由来栄養素は、トマトから見つかりました。実のところ、トマトをあのように赤くしているのがこの物質で、ベータカロチンと同様、カロチノイドのファミリーのメンバーです。

 食物リコピンに関する研究が示唆するところによれば、この成分は、心臓まひのリスクを減らしてくれる可能性があるそうです。1,300人以上を対象にヨーロッパで行なわれたある研究によれば、食品からリコピンをいちばんたくさん摂取していた人の場合、心臓まひのリスクは、摂取していない人の半分でした。また、48,000人を対象に5年がかりで行なわれたある研究では、1週間にトマト製品を使った料理を10回食べていた人は、前立腺癌のリスクが少ないこともわかりました。信じられないかもしれませんが、この人たちのリスクは、1週間に2回以下しかトマト料理を食べなかった人たちのリスクの1/3だったのです。さらに他の研究によれば、リコピンは、乳癌、直腸癌、結腸癌など、他の種類の癌のリスクを減らす上でも大きな役割を果たす可能性があるようです。

 わかったのはそれだけではありません。リコピンは生のトマトにも含まれていますが、火を通したほうが、リコピンが体内で活用されやすくなります。火を通せば、当然ながら、トマトは崩れますので、リコピンの吸収がしやすくなるというわけです。それに、油を少々加えてやると、さらに吸収が良くなります。特にオリーブ・オイルのような単価不飽和脂肪酸と組み合わせるのが最高です。

 実のところ、1人の人間が1日あたりどれだけの量のリコピンを消費すればいいのかは、よくわかっていませんが、最近の一連の研究から判断して、皆さんは、1週間に10回は食べるようにしたいと思われるかもしれません。もちろん、サプリメントで摂る、というのも、いい考えでしょう。特に、トマトが”好きでない”ため、それほど食べられない、という人にとっては。



3・国際アロエ科学評議会

 国際アロエ科学評議会というのは、非営利の商取り引き組織で、我々がアロエと呼ぶ特殊な素材に関して、品質保証用の評価基準を設定するために創立されたものです。天然の形態のまま利用される植物であるアロエベラには、いろいろと重要な効き目があることが、有史以来、伝統的に証明されてきました。人々は、何世紀もの間、アロエベラの葉を肌に貼りつけたり、あるいは内服したりしてきたのです。

 このようなアロエの持つさまざまな利点をそっくり活かしたまま製品化するというのは、簡単なことではありませんでした。なにしろ、ひとくちにアロエの有効成分というけれど、全部で200種以上もの成分が含まれているらしいのです。しかも、これらの成分は、それぞれアロエの違った部位に違った量ずつ含まれているのです。また、どういう技法を使って製品を作るかにより、せっかくのいくつかの良い成分が劣化したり、効力を失ったり、微生物混入によって汚染されたりしがちでした。それだけでなく、アロエの葉には、アロエイモディンとかアロインといった、望ましくない成分も含まれています。その上、これまで”アロエ入り”と銘打って製品化されたものの中には、水、モルト・デキストリン、希釈剤、カルシウム、その他の添加物が混入された粗悪品と呼ぶしかないような代物も、なかったとは言えないのです。

 食物サプリメントとして、これまでよりいっそう幅広くアロエが活用される見込みが出てくるに従って、品質保証のため、一定の評価基準を設定する必要が出てきました。年を追うごとに、ますます多くの商品がマーケットに登場するようになるにつれて、国際アロエ科学評議会(IASC)のような団体の結成が、緊急の課題として浮上してきたのです。この非営利の組織では、商品として流通させるアロエベラ製品をターゲットとしたいくつかの評価基準を設定してきました。商品が国際アロエ科学評議会の要求する条件を満たすためには、メーカー側は、特定の種類のアロエだけを、特定の技法で収穫し、加工しなければなりません。そして、最終製品には、いくつかの特定成分が、特定の比率で含まれていなければなりません。IASCは、アロエの葉、最終製品、製造技法、そして製造設備までをチェックするのです。

 IASCが設定した厳しい条件に適ったメーカーには”認定証”が与えられ、国際アロエ科学評議会の「アロエ成分ならびに純性を証するシール」を使用することができます。認定証は1年間のみ有効で、毎年チェックを受けて更新しなければなりません。IASCでは、アロエベラに関する科学的研究や出版活動をスポンサーしたり、その宣伝を行なう他、全米食品医薬品局やその他の標準機関に対し、アロエベラに関する資料やガイダンスを提供しています。店頭でアロエ製品を買うとき、国際アロエ科学評議会のシールが付いた商品を購入するようにすれば、消費者は、間違いなく良質のアロエベラ製品を入手することができるのです。



4・クランベリー・ジュースがバクテリアの固着を防ぐ

 クランベリー・ジュースは、よくある尿道感染症に効く飲む家庭治療薬として、昔から知られてきました。でも、どうして効くのかはわかっていませんでした。多くの医師が、クランベリージュースの有効性は、ベリー類特有の酸味からくるのではないかと考えてきたのですが、とうとう、新しい事実が明らかになりました。

 ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンの1998年版に、339:1085-1086という番号の元に掲載された最近の研究によれば、クランベリーに含まれている特定成分が、エスケリッチャ・コリ・バクテリアが尿路上皮細胞、つまり尿道内壁に付着するのを防ぐのだということです。そうなれば、当然ながら、これらの感染菌はそこに住み着いて悪さをすることはできません。

 ニュージャージー州ニュー・ブランズウィックにあるルトガーズ大学でエイミー・ハウェル博士率いるチームが指揮をとったこの5年がかりの研究の過程で、研究者たちが発見したのは、クランベリーのエキスには”濃縮タンニン群”別名”プロアントシアニディン群”と呼ばれる成分が含まれていて、これが、バクテリアが尿道内壁にくっつこうとするのを防ぐ役割をするのだ、ということでした。

付記:

クランベリー・ジュースのような伝統的な治療薬に、全身的な健康を支えるための価値ある成分がちゃんと含まれていたことが科学的に証明されるのは、いつ見ても興味が尽きないものです。



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