コレステロールについて-2

  (HDLコレステロールの重要性)


  コレステロールについて-1、もご参照ください。


HDLコレステロールの重要性

 HDLコレステロールとは、High Density Lipoprotein,(高比重リポ蛋白)コレステロール、LDLコレステロールは、Low Density Lipoprotein,(低比重リポ蛋白)と言います。
 HDLは善玉、LDLは悪玉と言われています。

 ですが、本来は健康な身体を維持するために、どちらも重要なのです。問題はLDLが増えすぎたり、HDLが低下してしまう。さらに、血管内壁の内皮細胞にキズをつける要因があることです。
 HDLは、血管を動脈硬化から守り、心筋梗塞、脳梗塞を遠ざける働きがあります。

 HDL値を上げよう!

 コレステロールについては、こちらのページでも書いていますので、ご参照ください。
 コレステロール値が高いという場合、総コレステロール値で判断するより、HDLの値と中性脂肪の値で判断するようにしましょう。メタボリック症候群の判断基準では、
 中性脂肪が150mg/dl以上、またはHDLコレステロールが40mg/dl未満というのが、判断基準の一つに挙げられています。

 LDLは増えすぎた場合、血管の内皮細胞にキズができていたりすると、そこに蓄積し動脈硬化を進行させてしまいます(アテローム性動脈硬化)。一方、HDLは、血管壁からコレステロールを回収し、肝臓まで運んでくれる働きがあります。

 血管内壁の内皮細胞にキズが出来る要因としては、ストレスや緊張、急激な体感温度の変化、タバコなどによって血管が収縮し、血圧が上がってしまう場合。さらには喫煙などで一酸化炭素などの有害な成分が血管に作用したり、なんらかの原因で増えてしまった活性酸素がある場合などが考えられます。

 血液検査で、HDLコレステロールが40mg/dl未満となった場合には、生活習慣の改善を意識した方が良いと言えます。


 メタボリック症候群

A・おへその位置の円周が、男性85cm以上、女性90cm以上
B・B1 中性脂肪が150mg/dl以上、またはHDLコレステロールが40mg/dl未満
  B2 収縮期血圧が130mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上
  B3 空腹時血糖値が110mg/dl以上

※上記のうち、Aに加えBが2項目以上該当する場合には、動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳梗塞などになる危険性が高くなります。


 コレステロールの種類

 コレステロールにはいくつかの分類があります。コレステロールの正体は油です。当然このままで血液中には溶けません。そこれで、タンパク質やリン脂質で覆って、必要とする細胞へ運搬するため血液中に溶けるようになったものです。水に溶けない油を石けんで洗うと水に溶けて良く洗い落とすことができるのとどこか似ているかもしれません。このような、タンパク質やリン脂質で覆われた脂質を“リポたんぱく”といいます。

 リポたんぱくは、以下のように主に5種類に分類されます。中性脂肪の割合が多いほどカタチも大きくなってきます。ここでは下へいくほど外径が大きくなります。

  ・HDL:タンパク質、リン脂質の割合が多い
  ・LDL:コレステロールの割合が多い
  ・IDL:コレステロールと中性脂肪も含んだもの
  ・VLDL:中性脂肪の割合が多い
  ・カイロミクロン:ほとんどが中性脂肪


 HDLを増やすには、

 1・禁煙をする

タバコを吸うと、、
・LDLが酸化され、血管壁にへばりつくようになる。
・血管の収縮があり血圧が上昇し血管内皮細胞へキズを作る
・タバコの煙に含まれる一酸化炭素などの有害物質が血管をキズつける
   血管内壁上皮細胞がキズつくことで、LDLが蓄積しやすくなります。

 2・適度な運動をする

・運動をすることによって、中性脂肪やそれに近いカタチの大きいリポたんぱくがエネルギーとして使われ、その結果、HDLが作り出されることになります。
 平成14年の国民栄養調査では、歩く歩数とHDLコレステロール値の関係が示されていますが、多く歩くほどHDLは増える傾向にあります。
 できるだけ、歩く習慣をつけると良いですね。

 3・食事内容を見直す

・コーン油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油などは、オメガ6系脂肪酸のリノール酸がほとんどです。オメガ6系の脂肪酸は、他の脂肪酸とバランス良く適量の摂取するなら、LDLを下げるように働くようです。ですが、これが酸化したものは過酸化脂質なって、やがて活性酸素を体内で大量に生みだしてしまいます。体内の時限爆弾という表現もされます。リノール酸の過剰な摂取はまた、HDLも低下させてしまいます。

・炭水化物の食べ過ぎでも、HDLの低下につながります。
 甘いものは出来るだけ控え、ごはんとおかずをバランスよく食べるようにしましょう。

・肉も適量食べるようにする
 肉類は飽和脂肪酸が豊富ですが、これはLDL、HDLともに上がる働きがあります。
 肉類は、野菜とともに適度をバランス良く食べるようにすると良いようです。

 

 長寿家系とHDL

 HDLコレステロール値が80mg/dl以上ある体質を受け継ぐ家系は、「長寿家系」という言い方がされてる場合もあります。「長寿症候群」という表現もありますが、いずれにしろHDLは80mg/dl以上あると、心筋梗塞や脳梗塞といったリスクがかなり低いのは明かなようです。

 HDLが40mg/dl以下の場合には、急に心筋梗塞などのリスクが高くなるようです。
 40mg/dl以下である場合には、早急に生活習慣を見直す必要があると思います。

 でも、HDLはいくら高くても良いかというと、それは違うようで、HDLが150mg/dlを超えるような場合には、リポたんぱくの代謝異常が疑われるようです。

 また、HDLが80mg/dl以上の場合でも、LDLが140mg/dlを超えてくると問題があるようですので、HDLが80mg/dl以上だからと言って油断はしていられないのです。 


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